症例・・・ウサギ(ロップイヤー) メス 6歳  Bw1.7kg  ヒメ

プロフィール・・・4歳11ヶ月齢時  子宮疾患の診断のもと子宮両卵巣摘出手術

          病理組織診断: 子宮腺癌 及び 子宮内膜増殖症

         5歳7カ月齢時   主訴(寝息が荒い いびきをかく) で来院

                      診断:心拡大 動脈硬化症   

                          触診で乳腺腫瘍確認

今回の主訴・・・ 3ヶ月経過し乳腺腫瘍が拡大、硬くなってきたので、摘出手術を希望。

治療・・・ 動脈硬化症があり手術のリスクも考えられたが、乳腺腫瘍の経過から乳癌の可能性が高く、放置すべきではないと判断し、オーナーに充分説明の上、外科手術を実施した。

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4歳11ヶ月齢時に実施した子宮両卵巣摘出時の写真。

両側の子宮角に硬結腫瘤が見られました。

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摘出子宮:

腫瘤は30㎜径の充実性の硬い組織でした。→ 子宮腺癌

 

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 今回(6歳齢時)

手術前の胸部レントゲン写真:

 心臓拡大と大動脈弓、胸大動脈の輪郭が明瞭化し、動脈の硬化像として確認できます。

 

 ウサギの動脈硬化: ウサギは動脈硬化が起こり易く、ヒトのアテローム性動脈硬化の実験モデルとして知られています。アテローム性動脈硬化は動脈壁の脂肪変性を伴った状態です。

  原因: 不明ですが、実験動物では高カルシウム食、高脂肪食と高コレステロール食の多給で発生します。また、遺伝的要因、内分泌の不均衡も発生に関与しているかも知れません。

 

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ウサギの麻酔の定法通り、前処置鎮静後麻酔BOXで導入し、マスクに切り替えました。

 

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乳腺腫瘍周囲の消毒です。

 

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有窓布(ドレープ)で手術部周囲を被います。

 

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電気メスで正常皮膚を含めて余裕をもった切除ラインで切開します。

 

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切除できました。凝固切開をしているので、殆ど出血はありません。

 

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マットレス縫合で皮膚を閉じ、終了です。

 

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乳腺腫瘍の病理組織学的診断:  腺管癌

  乳管上皮由来の悪性腫瘍性病変(乳癌)の浸潤性増生が認められました。乳腺組織に、不規則な境界を有する乳癌の増生が認められ、真皮表層及び皮下筋層内への浸潤が認められます。壊死傾向の見られる腫瘤内では、核小体明瞭でクロマチン豊富な卵円形異型核を有する癌細胞が、腺腔配列傾向が僅かに見られる充実性小胞巣状配列で密に増生するとともに、周囲組織へ向けて浸潤性に拡大しています。

 腫瘍境界は比較的明瞭で、腫瘤状部分は取り切れています。脈管侵襲は見出されません。

 

コメント: 手術も比較的短時間で終了し、動脈硬化症の影響もみられませんでした。ヒメちゃんは術後覚醒したその日のうちに、牧草、野菜を食べ始めました。

 

3月5日の今日、検診に来院し、胸部のレントゲン撮影をして転移像もなく、術後の経過は極めて良好です。